2016年度 学術講演会



期日
:平成29年1月28日(土)15:30−17:00
会場福岡大学 文系センター棟 3階 PC教室F

題目:日本における複言語主義とCLIL
講師:千葉商科大学教授 酒井志延先生

概要:   
グローバル社会で必要な能力は,OECDが提唱しているキーコンピテンシー:「言語や機器を道具として使うこと」,「異文化の人と交流すること」を養成することが重要だと思います。とくに,世界における継続的な調和と平和,人的交流を促進するためには,コミュニケーションとアイデンティティ表現の手段として,すべての言語に同等の価値を持たせることが必要であると思います。複数の言語を学ぶことによって,人は言語的多様性への認識,異文化理解,文化的な差異の受容が可能となります。小学校での外国語教育が英語だけになりつつある日本の現状をみますと,教員個人の考えや意識とは無関係に,「英語には価値がある」という評価が児童に伝えられていることになります。そして「英語には価値がある」という評価は,「英語以外には価値がない」という評価に転化しやすいものです。もし英語以外にも価値があるなら,授業で取り扱っているはずだからです。

そして,多言語社会で何らかの役割を果たすには,言語学習は個別言語の達人を目指す必要はありません。偏った言語観を持たない,つまり言語的バリアーを持たない,人的交流を促進する異文化間話者になることが目標となります。したがって,ヨーロッパでは,母語以外に2つ以上の言語を習得することが言語教育の目標になっています。

また,複言語主義について,パーメンター(2004)は「二つ以上の外国語に触れた子どもたちの場合には,二分法に基づく理解を持つ傾向が低くなり,多元的な視野を持つようになる。多元的な視野を持てるようになった子どもたちは,批判的でバランス感覚に優れた見方ができるようになり,異文化間理解能力や異文化間コミュニケーション能力だけでなく,考える力,他者理解,自己理解,アイデンティティの確立といった要素を発達させやすくなることが予測できる 」(p. 32)と述べています。

では,キーコンピテンシーを養成するための小学校の外国語教育の指導方法を考える時,CLILが良いと思います。CLIL は言語指導法と見られがちですが,4C:Cognition, Content, Culture, Communicationを重視します。特にCognition では認知能力の訓練で,能力を2つに分けて共に鍛える:記憶,理解,応用のLOTS(Lower-order Thinking Skills)と分析,評価,創造のHOTS(Higher-order Thinking Skills)です。教科を通しての学習は,学習者の成長に応じた思考能力の養成も伴うことになります。日本の英語教育ではほぼLOTS しか訓練していません。ヨーロッパでは,小学生に対してLOTS とHOTS を協同学習で体験を通して身に付けさせる指導法が普及しつつあります。

本報告では,日本の小学校でのCLILの実践例を紹介し,CLILの可能性を考えていきます。

資料代: 会員無料,非会員 500円

★懇親会★
なお,講演会終了後,講師の先生を交えて,懇親会を開催いたします。
こちらにもぜひ,ご参加ください。(申し込み締切は1月13日です。)

時間:18:30〜20:30
会場:ル・ミストラル(福岡市中央区高砂2丁目6-18)
会費:6,000円
 

懇親会 参加登録(1月13日締切)

期限が過ぎたため受付けを終了しました。