LET九州・沖縄支部学術ワークショップを3月23日に開催しました

LET九州・沖縄支部は2024年3月23日に佐々木有紀先生(佐賀大学)を講師に迎え、学術ワークショップ「論理的思考力を鍛えるための段階的アプローチ:オンライン英会話を活用して」を開催しました。佐々木先生は佐賀大学の副専攻英語コースの学生を対象とした授業でオンライン英会話を導入し、受講生が現代的な課題について自分の意見を英語で述べられるようにすることを目的とした授業を運営されています。

2023年度前期に行った授業を例にとり、どのような流れで授業を行っているのかが説明されました。学期の最初のうちは授業の中で受講生がオンライン英会話を受講し、たとえば、動物実験は禁止すべきかという問いに対して、一対一でオンライン英会話の講師の指導を受けながら自分の意見をまとめあげ、最終的に英語で表現できるようにされていました。その後、オンラインで受講することに慣れた段階で、オンライン英会話は宿題として実施するようにし、授業内ではオンライン英会話で扱った問いについてディベートを実施したり、ディスカッション型ドラマを実施したりすることで、受講生が論理的思考を行う機会を設け、考えをきちんと伝える力を伸ばす試みがなされていました。ディベートを実施するにあたり、立論ももちろん重要であるが、それ以上に反駁できることが重要であると強調されていました。反駁する力を養うための活動として“Ping-Pong Debate”が紹介されました。Ping-Pong Debateとは、2つのグループで行う活動で、一方のグループが肯定の側から意見を述べると、それに対しもう一方のグループがそれを短時間のうちに反駁することを繰り返す活動を指します。

ワークショップの最後ではディスカッション型ドラマが紹介されました。ディスカッション型ドラマとは、たとえば、男女平等の社会を実現するためにどうしたらよいかという問いに対して、グループでシナリオを作成し、問題の設定からエピソード的な場面を経て、最終的にグループの解決案をドラマ仕立てで提示する活動のことです。
ワークショップでは随所に、受講生に考えさせたり、意見を述べさせたり、相手の意見を聞いて批判的に検討させたりする仕掛けが示されていました。佐々木先生はワークショップの冒頭で“one AHA!”(思わずaha!と思うようなことを1つ)を持ち帰ってほしいという述べていましたが、たくさんのaha!があふれるワークショップでした。

(報告者:植田正暢)